「もうやめよう」と思っても、ついつい手が伸びてしまう甘いお菓子。
意志の弱い自分を責めたことはありませんか?
実はそれ、意志の弱さではなく体の自然なサインかもしれません。

この記事では、甘いものが食べたくなる原因と、体にやさしいお砂糖について解説していきます。
甘いものをやめられないのはなぜ?
ストレスや疲れ
仕事や人間関係のストレス、睡眠不足などが続くと、脳は「エネルギーを補給してリラックスしたい」と指令を出します。
そういうときに砂糖を摂ると、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが分泌され、気持ちが満たされます。「甘いものを食べるとしあわせ~」と感じるのは自然なことなのです。
ただし、これはあくまでも瞬間的な幸せであり、長続きはしません。
血糖値の急上昇と急降下
白砂糖は精製の過程でミネラルが取り除かれ、血糖値を急激に上げる性質があります。
すると、体は血糖値を下げようとしてインスリンを大量に分泌します。インスリンによって血糖値が落ちると、今度はそれまで以上に甘いものを欲するようになります。
この、ジェットコースターのような急激な血糖値の変動が、「甘いものがやめられない」という状態を作り出します。

特に、夏場のスポーツドリンクなどのガブ飲みは要注意です。
糖分の過剰摂取による高血糖状態は、ペットボトル症候群などと呼ばれ、急性糖尿病に至る原因とされています。
「やめる」のではなく、「選ぶ」意識を持とう
甘いものが好きな人は、無理に甘いものを我慢するよりも、体にやさしい砂糖を選ぶという方法がおすすめです。
体にやさしい砂糖には、ミネラルや自然の栄養素が豊富に含まれていて、血糖値の上がり方もゆるやかです。
以下で、体にやさしい砂糖のそれぞれの特徴をご紹介します。GI値も併せて参考にしてみてください。

GI値というのは、どれくらいの速さで血糖値を上昇させるかを示す指標です。
低GI食品ほど肥満や糖尿病になるリスクを抑える、体にやさしい食品ということになります。
きび砂糖(GI値 70~100)
きび砂糖は、沖縄などの暖かい地域で栽培されるサトウキビから作られた砂糖で、カリウム・カルシウム・マグネシウム・鉄などのミネラルが豊富です。
まろやかな風味とコクがあり、煮物やお菓子に使用すると、料理に深みや照りが出ます。
GI値は70~100と、高GI値の白砂糖(65~109)とあまり変わらないのですが、不足しがちなカリウムやマグネシウムが摂取できるのが最大の特徴です。
てんさい糖(GI値 53~65)
てんさい糖は、北海道で多く栽培されるてんさい(ビート)から作られた砂糖です。寒い地域で育つ作物のため、体を内側から温める作用があると言われています。
クセがなく、お料理にもお菓子にも使いやすい万能タイプです。
GI値は53~65と低めで、血糖値を気にする方におすすめの砂糖です。また、砂糖の中で唯一、オリゴ糖を豊富に含んでおり、腸内環境を整える効果も期待できます。
黒糖(GI値 50~55)
黒糖は、サトウキビの搾り汁を煮詰めて作られる砂糖です。カルシウム・カリウム・マグネシウム・鉄・ナトリウム・ビタミンB群などが豊富に含まれています。
カラメルのような濃厚なコクや甘み、ほのかな苦みや香ばしさが特徴で、和菓子や煮物などに深みを加えてくれます。
GI値は50~55と低く、味わいで好みが分かれる砂糖といえます。
ココナッツシュガー(GI値 35~52)
ココナッツシュガーは、ココナッツの花の蜜を煮詰めて作られる砂糖です。カリウム・マグネシウム・亜鉛・鉄などのミネラルが豊富に含まれています。
ココナッツ特有の香りや風味はほとんどなく、ココナッツが苦手な方でも安心して使えます。黒糖に近い濃厚なコクが特徴です。
GI値は35~52と非常に低く、体への負担がもっとも少ない砂糖のひとつです。ただし、ほかの砂糖に比べてお値段はお高めです。
メープルシロップ(GI値 48~60)
メープルシロップは、カエデの樹液から作られる天然甘味料です。カリウム・カルシウム・マグネシウム・亜鉛などのミネラルが豊富に含まれており、自然の甘みとコク、豊かな香りが特徴です。
天然のポリフェノールによる抗酸化作用があり、濃い色のメープルシロップほどポリフェノールが多く含まれています。
GI値は48~60と低く、抗酸化作用も含めて美容に嬉しい甘味料といえます。デメリットとしては、水分量が多いためカビが生えやすいことと、その特徴的な風味が使う場面を選ぶことです。

本物のメープルシロップは、原材料が「カエデの樹液のみ」です。ほかの甘味料をまぜた「メープル風味シロップ」との違いに注意してください。
購入するときは、原材料をかならずチェックしましょう。
アガベシロップ(GI値 15~30)
アガベシロップは、主にメキシコ産のアガベ植物から作られる天然甘味料です。主成分は果糖で、白砂糖の役1.3倍の甘さがあります。
GI値は15~30と極めて低く、味にくせがなくて素材の味を邪魔しないため、お料理にもお菓子にも幅広く使用することができます。冷たいものにも溶けやすい特徴があります。
はちみつ(GI値 30~65)
自然のままのはちみつには、酵素やビタミン、ポリフェノールなどがたっぷり含まれています。のどのケアや疲労回復にも役立つ大自然の恵みです。
果糖とブドウ糖のバランスが良く、すぐにエネルギーになるのが特徴です。
GI値は花の種類によって異なり、もっとも低いアカシアはちみつのGI値が30~40とされています。
くせがないので様々なお料理やお菓子に使うことができますが、貴重な酵素や栄養素を余すことなくいただくために、非加熱での使用をおすすめします。
アーユルヴェーダ(※)では、はちみつを加熱すると体の毒素となる、とも言われています。
※インド発祥の伝統医学

購入する際は、原材料が「はちみつのみ」で、「非加熱」「純粋」と書かれたものを選びましょう。
不自然な甘味料に気をつけよう
カロリーを気にして、カロリーハーフやカロリーゼロの甘味料を選ぶ人もいることでしょう。これらの甘味料の原材料は以下の通りです。
- エリスリトール
ブドウ糖やトウモロコシ由来原料を発酵して作る糖アルコール。
- アスパルテーム
アミノ酸由来の人工甘味料。少量で強い甘さを感じられます。
- アセスルファムK
人工の高甘味度な甘味料。加工食品や飲料などに広く使われています。
- スクラロース
白砂糖を原料にして科学的に加工して作られる人工甘味料。白砂糖の600倍の甘さがあり、カロリーはゼロです。
- ステビア
キク科ステビア属植物由来の天然甘味料。
- 羅漢果エキス
ウリ科の植物、羅漢果由来の天然甘味料。
これらの中で特に気をつけなければならないのが、アスパルテーム・アセスルファムK・スクラロースといった人工甘味料です。発がん性などが指摘されており、もっとも避けるべき甘味料といえます。
また、そのほかの植物由来の甘味料も、遺伝子組み換えのリスクがあることや、抽出する際に化学的な工程を経ていることも多いため、安全性に対する信用度は高いとはいえません。

カロリーの低さに惑わされず、大切な体のために、自然な製法の天然のお砂糖を選ぶようにしましょう。
煮物などのお料理には、お砂糖ではなくみりんを使うのもおすすめです。
まとめ 正しく選んでおいしく食べよう
体にやさしい砂糖には豊富なミネラルや栄養素が含まれています。大自然の恵みに感謝しながら適度に甘いものをいただくことは、人間も自然とともに生きる存在としてとても自然なことです。
甘いものを無理に我慢するのではなく、体にやさしい砂糖を正しく選び、これからもおいしい食生活を送りましょう。


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