自分の好きなことを仕事にするのは本当に幸せ?夢を叶えたい人が知っておくべき現実とは

仕事

「自分の好きなことを仕事にしよう」
「自分の好きなことで楽しくお金を稼ごう」

こうした言葉は就職活動やキャリアの相談でよく耳にします。夢のあるフレーズですし、誰しも一度は憧れる選択肢ではないでしょうか。

しかし実際は、好きなことを仕事にして幸せになる人もいれば、逆に苦しさを感じてしまう人もいます。

 

この記事では、就職や働き方に迷っている人に向けて、「好きなことを仕事にするメリットと弊害」について解説していきます。

 

好きなことを仕事にするメリット

まずは多くの人が憧れる「好きなことを仕事にする」ことのプラス面を整理してみましょう。

情熱を持って取り組める

好きなことに打ち込む時間は楽しく、モチベーションを高く維持できます。多少の困難があっても「自分のやりたいことだから」と乗り越える気力が湧いてくるのは大きな魅力です。

 

学ぶスピードや成長するスピードが速い

好奇心や探究心を持っている分、自然と勉強や努力を続けられます。他の仕事をするよりも成長スピードが速くなりやすいのも特徴です。

 

自己実現感が得られる

「やりたいことを形にできている」という実感は、人生全体の幸福度にも影響します。自分の存在価値を感じやすいのは大きなメリットです。

 

好きなことを仕事にする落とし穴

一方で、好きなことを仕事にするからこそ生まれる問題点もあります。見落とされがちな部分でもあるので、注意が必要です。

「好き」が「嫌い」に変わる可能性がある

「好きなこと」が「やらなければならないこと」に変わると、楽しさよりも義務感が強くなってしまいます。好きだったはずのことが、仕事のストレスで嫌いになってしまう例はめずらしくありません。

 

心の逃げ場がなくなる

好きなことを仕事にしてしまうと、本来なら息抜きの場だったはずの「好きなこと」が、息抜きの場ではなくなってしまいます。するとリフレッシュできる時間がなくなり、精神的な余裕を失いやすくなります。

 

収入が安定しにくい

自分の好きなことが、必ずしも市場の需要と一致しているとは限りません。特に若いうちは経済的な基盤が弱いため、「好き」だけでは生活が成り立たないリスクは高いです。

生活できなくなってしまっては元も子もないので、経済的な問題をどうクリアするかを考える必要があります。

 

理想と現実のギャップ

「好きなことをやれば楽しくお金を稼げる」と考えていたのに、実際は雑務や人間関係に追われて疲弊してしまうこともあります。理想と現実のギャップに苦しみ、将来のビジョンが描けなくなることも。

 

キャリアの幅が狭まる

ひとつの「好き」にこだわるあまり、他の選択肢を見失っていることもあります。「自分にはこれしかないんだ」という思い込みから、本来あるはずのべつの可能性を狭めてしまっている人も少なくありません。

 

以下で、実際に好きなことを仕事にした人の体験談を見てみましょう。

 

好きなことを仕事にした人の体験談

Aさんの場合(26歳男性)

子どもの頃からイラストを描くのが好きで、一度は一般企業に就職したのですが、やりがいを感じられずに退職。その後イラストレーターとしてフリーで活動を始めましたがうまくいかず、デザイン会社に転職しました。

新しい会社ではwebデザインを担当していてとても楽しいです。でも、「イラストレーター」という肩書きには今でも憧れがあります。

 

Bさんの場合(38歳女性)

料理が好きで、料理教室の講師になる夢を叶えました。ところが、大勢の生徒さんへの指導は想像以上に大変で、さらには集客の難しさなどもあり、次第に料理そのものを楽しめなくなってしまいました。

現在は大手クッキングスタジオで事務のパートをしながら、SNSで自分のレシピを発信しています。

 

Cさんの場合(32歳女性)

高校時代からバンド活動をしていて、大学卒業後はシンガーソングライターを目指して上京しました。運良くいくつかのお仕事をいただけたのですが、収入は不安定で、結局続けられなくなって辞めてしまいました。

その後はアルバイトを転々としながら就職活動を続け、30歳を過ぎてようやく安定した仕事に就くことができました。今は週末にライブ活動をしています。

 

Dさんの場合(27歳女性)

子どもの頃からクラシックバレエを習っていて、高校卒業後はバレエ教師になりました。

「毎日バレエのことだけ考えていればいい」と思っていましたが、実際はさまざまな年齢の子どもたちと向き合う難しさと、保護者たちとの付き合い方に悩みが尽きず、心身ともに疲弊してしまいました。

気晴らしに自分のレッスンをしていても、気がつくと仕事のことを考えるようになってしまい、昔のように純粋にバレエを楽しめなくなったのが一番つらかったです。

 

Eさんの場合(33歳女性)

昔からファッションが好きで、スタイリストとして働いています。そう言うと、人からは「すごいね!」「かっこいい!」と言ってもらえることが多いのですが、流行の最先端を追いかけ続ける生活はとても大変で、さらに癖の強い人が多い業界でもあるため苦労が絶えません。

家族や友人に弱音を吐くと、「自分で選んだ道なんだから」「夢を叶えて羨ましいよ」「贅沢な悩みだなー」などと言われてしまうので何も言えなくなりました。

好きなことを仕事にすると、周囲に仕事の愚痴を言いづらいというのは、予想していませんでしたね。

 

それでもやっぱり「好きなことを仕事にしたい」という人へ

ここまで読むと、「結局、好きなことは仕事にしない方がいいの?」と不安になるかもしれませんが、そういうわけではありません。好きなことを仕事にしてもしなくても、工夫しだいで仕事を楽しむことはできます。

 

好きなことを仕事にした場合と、しなかった場合、それぞれ詳しく見ていきましょう。

好きなことを仕事にした場合

強制されない時間を確保する

納期や依頼などから離れて、「自分がやりたいようにやる」時間を意識的に取ることが、情熱を保つ秘訣です。

また、同じ「好きなこと」でも、仕事にする部分と趣味の部分とに分ける工夫も有効です。
(たとえばイラストレーターなら、仕事と趣味とで絵の世界観を変えるなど。)

 

評価や収益と切り離す時間をつくる

数字やフィードバックに縛られすぎると、好きなことが嫌いになる原因になります。誰にも見せない作品や成果を残すなどして、「自分だけで楽しむ時間」をつくると、嫌いになりにくいです。

 

あえて違うジャンルの趣味を持つ

好きなことを仕事にした場合、思い切って違う趣味を始めてみるのもいい方法です。

どんなに好きなことでも、仕事という「義務」になると息が詰まるもの。息抜きする手段を失わないことが、好きなことを仕事として長続きさせるコツです。

 

一度距離を置く勇気を持つ

どうしても疲れたときは、一時的に休むのも大事。完全に嫌いになる前に距離を置くことで、ふたたび「好き」という感情を取り戻せます。

 

 

 

好きなことを仕事にしなかった場合

得意なことを仕事にする

自分が比較的スムーズにできること、他の人より評価されやすいことを仕事にするのも選択肢のひとつです。得意なことはストレスが少なく、成果も出やすいです。

 

好きなことは趣味として残す

仕事にしてしまうと義務になりがちな好きなことは、あえて趣味として残しておくのも賢い選択です。趣味があることで、仕事のストレスとのバランスが取りやすくなります。

 

仕事は好きなことを続けるためのものと割り切る

綺麗事だけでは生きていけません。仕事は「好きなことを続けるための資金源」として割り切るのもひとつの方法です。

仕事にやりがいや生きがい見い出せたら最高ですが、そうでない場合も、「やりがいや生きがいは他にある」と思うことで、精神的に強くなれます。

 

仕事の選択に迷ったときの指針

最後に、「自分はどうしたらいいのか?」と迷ったときの考え方をまとめます。

 

  • 「やりたいこと」と「やりたくないこと」の両方を書き出す
    迷ったら紙に書き出してみると、頭の中が整理されて、いい方法が浮かんできたりします。

 

  • 生活の基盤を整えることを優先する
    若いうちはキャリアの土台作りの時期です。最初に生活を安定させる収入源を確保することを優先しましょう。

 

  • 二足のわらじを試してみる
    好きなこと一本で稼ぐことにこだわらず、本業を持ちながら副業としてちょっとずつためしてみるのがおすすめです。

 

まとめ 好きなことと生活のバランスを大切に

「自分の好きなことを仕事に」
「自分の好きなことで楽しくお金を稼ごう」。
この言葉には夢がありますが、現実はそう簡単なことではありません。

 

好きなことを仕事にするかどうかを白黒つけて決める必要はなく、いろいろな方法を模索してみてください。

 

好きなことと生活のバランスを考え、楽しくキャリアを積んでいってくださいね。

 

 

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